買おうとしていたのは、原宿駅からさほど遠くないマンション。最低落札価格が二千万に満たない物件だ。「競争入札だから多少高くなってもしかたないと、二千四百万で入札したんです。相場から言えば四千万ちょいの物件ですかね。狭い1DKですし、築年数も二十年超えていますから。事務所にしようと思っていたので、そのあたりは気になりませんでしたね。いざ開札となったんですが、あんなに悔しい思いをしたのは初めてですね。私の価格は最高価格だったんですよ。
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ところが、まったく同じ価格の人がもうひとりいたんです。まれにあるらしいですけどね。そうすると再入札ですよ。しょうがないから、二千五百万にしました。すると、もうひとり、また同じ価格になっちゃったんですよ。極めて珍しいケースらしいけど、考えることが一緒だったんでしょうね。もっと言えば二人とも素人だったんでしょうね、もうちょっと価格に工夫すればよかったのに。じゃあ、また入札かと思ったらくじ引きですよ、くじ引き。それで負けちゃったんです。いやあ、ほんと悔しい思いさせてもらいましたよ、あれは」珍しいケースだと思うが、これはやはり素人ならではだろう。業者ならこんなことは絶対にない。