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子どもの目の方が絶対に常識を持っていて正しい

2011.10.21

駐車場などあろうはずもなく、会社までは満員電車に揺られること一時間。残業でムチ打たれ、ようやく週末を迎えれば、土曜日は早朝からバリバリに気を張りつめ、球よりも速く落下地点に到着して客を待つ接待ゴルフ。息も絶え絶えに、ようやく、日曜日を迎える。しかし、本人は目印の日光を浴びたことがないという。ベッドの中でぴくりともせず死んだように眠りこけなければ、消耗した体力の挽回はおぼつかない。彼は、五十歳にして身体に鞭打つ、塀のない刑務所とも言える、酷な環境に放り込まれてしまったのである。

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僕と会った支店長、いや部長は、なんと弱々しくボロボロであったことか。カリフォルニアの降り注ぐ陽射しに、汗を流し一緒にゴルフをした仲間、日焼けした蜂蜜色のナイスミドルは、どこへいってしまったのか。「それじゃ、あまりにも女々しい始まりじゃないの、祖国の席は」と声をかけると、「そんでね、しょうがないから、息子を同僚の家に遊びにやったんだ。日本のサラリーマンの現実はどんなもんだか、納得させるためにね」と言って、内ポケットからアスピリンを一錠取り出して口に放り込み、喉につかえそうになりながら、涙を惨ませて、かれ声で続けた。「そしたら帰ってきやがって……あいつ泣くんだ。生意気だよ。俺かかわいそうだって言いやがってさ。営業部長なんていらない、何のための人生なんだって……。ロサンゼルスのプールサイドに立って輝いていた。見たいって……」。栄転という肩書きだけで、自分を一所懸命納得させようとしているけれど、子どもはそうはいかないのである。社長だろうが係長だろうが名刺に印刷されたポジションはどうでもいいのだ。肩虫‥が上がれば、それなりの住環境とゆとりが術わらなくては何の栄転なのかさっぱりわからない。住まいの規模が変われば、家族全員に影響を与えるものである。そして、こればかりは、大人の目よりも子どもの目の方が絶対に常識を持っていて正しいといえる。





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